手と手
2023年3月31日
先日バス停でのこと。
「エン長せんせ〜」と声をかけられました。
(私、園長だった?)
だいぶ前に卒園した子のお父さんとお母さんがワンちゃんのお散歩の途中のようでした。
「ワァ〜久しぶりですセンセ(私のコト)お変わりありませんね〜(私のコト)」
と、言ってくれるではありませんか。
(好きだなぁ〜、いい人だなぁ〜、変わらないなんて言ってくれる…❤️)
「大きくなったでしょう? お子さんたち…」と私が聞くと、
「来月、◯◯は結婚します。△△は、子供がいます。大きくなりました。」
「ギョ、ギョギョ!!」
そうだよなぁ〜。私も保育者になって50年以上。
伯父のあとを頼まれて西小岩幼稚園にきて40年、3歳で入園して泣いていた子たちも、親になって子どもを入園させてくれたりするものねえ。と、ひとりしみじみ振り返る。
いろんなことがあった。
でも子どもに向き合うその気持ちはどんどん強くなって、一点のくもりもないと断言できる。
先日の卒園式も、子どもたちの歌声がひびくなか終了した。
お母さんからのありがとうの言葉はこちらこそのありがとうだ。
子どもに出会わせてくれたこと、私たちを学ばせてくれたこと。
感謝します。
どうぞ、なにかあったらいつでも相談にきてね。
幼稚園の大人は、みんな、みんなここにいて、みんなを応援するからね…と、ここで、私はハッと自分の年に気がついて、
「アッ! たみこさんはもしかしたら上の方(空か?)にいってるかもしれないけどサ、でも見てるよ!!」と言った。
なんだか、私が指を空に上げた時、お母さんたちに笑い声が…。
「ウケた…!」
と思ってしまった私。
ある日のこと。
園の門のところで子どもがそっと手をつないできてくれたので、うれしくにぎりかえした。
やわらかな小さなかわいい手だ。
さすってみると、その子も私の手をそっとさすってくれた。
で、ですね。
なんかぎょっとしたように私の手を自分の目の上にもってきて、見つめてですね、てのひらをつまんだりするのですよ。
ハッとしましたね。
バアバやジイジとくらしていない子は、わたしのようなバアバの手をしっかりみつめることはないかもしれない。
そう…しわのある、血管の浮き出たこの私の手。
その子の「エッ? これどーした?」の感じがすごくわかってしまった。
ついつい「この手はね…」と説明しようかとの思いが走ったが、やめておいた。(これが自粛ということだ)
人は年をとるんだよ。みずみずしい肌も、なにもかもが。
でも、人と人はこうして、小さなツルツルの手と、シワシワの手と、つなぎあいながら、生きていくんだね。
との思いを込めて、私はその子の手をしっかりとにぎったのでした。